書評

【狐笛のかなた】少女と妖狐と呪いの和風ファンタジー

都心へと向かう通勤電車の中、朝の憂鬱な気持ちを吹き飛ばしてくれた小説「狐笛のかなた」をご紹介させていただきます!

久しぶりに電車で本を読むことを楽しもうかな〜と思い、ファンタジーが読みたくて適当におすすめを調べた中で、ちょうどよく買うことができたのがこの作品だったのですが、非常に自分の好みにマッチしている作品でスイスイ読み進めることができました!

では下記にてこの作品を紹介させていただきます!

「狐笛のかなた」作品簡単要約

一言で言うと「呪いに翻弄された少女と妖狐の物語」でした。

12歳の少女・小夜(さよ)はある日、野犬に襲われていた妖狐・野火を助けることとなり、
その出来事がきっかけで、ある屋敷に閉じ込められて生活している少年・小春丸と出会うこになりました。
小夜と小春丸は以降しばらくは仲良く夜の時間に隠れて遊ぶ関係になり、野火は助けられた恩もあり小夜のことを見守る日々が続きました。

小夜には<聞き耳>という人の心を読み取れる力を母から受け継いでいましたが、16歳となった小夜は母が呪者の一族であったことを知ります。

隣国の呪いが渦巻く争いに巻き込まれることになる小夜、小春丸、そして野火の3人を中心に描かれた、和風ファンタジー小説です。

「狐笛のかなた」感想

なんといっても世界観が素敵だった。
読んでいる時の個人的な印象としては「もののけ姫」くらいの世界をイメージしていましたね。昔の日本を思わせる舞台設定だけでなく、「呪い」が存在している世界だったかもしれません。
個人的に「もののけ姫」のタタリ神は、呪いというか呪物的な要素が強いものと認識していたので。
(実際アシタカの腕は呪われていますし。)

作家さん的にはどのくらいの時代を意識した作品なんだろうなと思いながら読み進めていましたが、答えは「あとがき」に明確に記載されていたので嬉しかったです。
「どこの時代と細かい設定はせずに、心の底にある懐かしい場所」の物語と語ってくれています。
私はその世界観を映像化した時に、「もののけ姫」みたいな世界を想像していたのですが、他の人が読んだら全く違う世界で小夜や野火は活躍しているのかもしれません。

受け取る側で世界が変わるのは小説の面白いところだなぁ。

非常に読みやすい文体でしたし、またこの作家・上橋菜穂子さんの作品には手を出してみたいな。
和風ファンタジー以外も書いているらしいので、次に出会えるのはどんな作品になるのは非常に楽しみです。

個人的に少し気になったのは<聞き耳>の力を必要とするシーンが少なかったこと。人の心が聞こえる能力って作品の中心にあってもおかしくないくらい大きな要素だと思って読み始めたけど、この能力が活用されるシーンは少なかったですね。

超能力とか大好きだから、作品のどこで活躍させるんだろうと勝手にワクワクしてしまってましたが、この作品の良いところは他の箇所につまっていたので、見当違いの見積もりをしちゃってました。ごめんなさいね。

個人的に好きだったシーン

小夜と野火が一緒にいるシーンは軒並み読んでいて面白かったですが、作品のエピローグ箇所が一番好きですね。

この作品の結末をハッピーエンドと取るかは正直受け取りて次第ではないかなと考えます。個人的にはハッピー寄りでしょうか。

「むごいことだ」

「そうでしょうか」

のセリフのやりとり、どちらに共感できるかによって作品への感想は変わってきそうです。

誰の目線で何をハッピーと取るか、こう言う話を同じ作品を読み終えた人と語ってみたいものです。